無観客でツール開催?|選手たちは否定的

無観客でツール開催?|選手たちは否定的

新型コロナウイルス感染拡大により、すべてのUCIレースが4月30日まで中断された。それ以降のレースでも中止・延期が決まるなど、レース再開の見通しは立っておらず、影響が広がっている。5月に開催される3週間のグランツール、ジロ・デ・イタリア(5月9日〜31日)で延期が決まったが、7月のツール・ド・フランスについても、対応が注目されている。

フランスのロクサナ・マラシネアヌ青少年スポーツ相は、仏ラジオで3月23日と25日の2度に渡り「無観客ツール」の可能性に言及。「主催者との話し合いはまだ初期の段階だが、すべてのシナリオ(=実施・延期・中止)が考慮されている」とも語った。

この「無観客ツール」発言に関して、選手たちからコメントが集まっている。いかにゲラント・トーマス、ステフェン・クライスヴァイク、マルセル・キッテルのコメントをまとめた。


ゲラント・トーマス (チーム イネオス)
2018年ツール総合優勝、2019年総合2位

トーマスは現在モナコから故郷のウェールズに帰国し、英国政府による自宅待機指示に従って暮らしている。健康維持のために一日一度のライドは許可されているが、距離や時間にはっきりとした指針がなく、屋外での練習走行は数回しか行っていない。

ファンなしでは、ツールではない。(観客を制限して3月に開催された)パリ~ニースとツールは別物だ。ツールを見に来るなというのは、パリ~ニースに来るなというより、ずっと難しいと思う。ただ、状況は刻一刻と変化し、あれこれ先のことを推測することはできない。誰のためにも、早く新型コロナ問題が終わればいいと思ってる。

引用:The Telegraph 2000年3月30日付 ” Geraint Thomas exclusive interview: ‘Tour de France would not be the same without fans’ ” 


ステフェン・クライスヴァイク(チーム ユンボ・ヴィスマ)
2018年ツール総合5位、2019年総合3位

モナコではフランスと同じ外出制限が敷かれ、クライスヴァイクも3月17日以降バイクで外を走っていない。室内でできるトレーニングとZwiftの毎日だ。

あくまで僕の意見だけど、できれば無観客のツールは走りたくない。無観客ならツール開催を正当化できる?意見は人それぞれだろう。少なくともテレビで何かを見せることはできる…でもそれは現実的かな?

あらゆる面で安全を考慮し、リスクを絶たなければならない。ツール自体が感染を広げることがあってはならない。仮に観客を無くしたとしても、そもそもツール自体が1000人以上の大所帯だ。

引用:Jumbo-Visma公式 2000年3月27日付 “Kruijswijk: “I’m not even allowed to cycle outside in France, so how can I prepare for the Tour?”


マルセル・キッテル(元選手)
ツール区間14勝、2019年に引退

一ファンとしては、ツールが開催されたらいいなと思う。けれど現実問題、もし新型コロナ問題が早急に解決しなければ、もっと後の日程に延期して開催するしかない。何よりも、もともとの日程にこだわり、無観客でツールを開催しようとするなら、それは完全におかしい。ウイルス感染が広がり続けるフランスで自転車レースを行う、ということだからね。そんな状況でなければ、観客を隔離する必要はないはず。さもなければ開催する価値はない。延期か中止にすべきだ。

引用:Welt 2000年3月29日付 “Marcel Kittel: «Tour nicht mit allen Mitteln durchziehen»

text: 五色の猫