レース中止によるプロトンへの経済的影響:ジルベールがコメント

レース中止によるプロトンへの経済的影響:ジルベールがコメント

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、地球上のスポーツイベントが次々と中止や延長を余儀なくされた。自転車界の経済にも、大きな影響を及ぼしている。

3月末にはロット・スーダルの複数スタッフが、一時的失業*に追い込まれた。同時に選手たちが自発的にサラリーの10%減額を申し出たことも、明らかになった。

*一時的失業:企業が一時的な活動停止や、被雇用者の労働時間を短縮せざるを得ない状況下にある場合、被雇用者を一時的な失業状態におくこと。雇用者は政府からの援助を受け、国の定める割合で被雇用者へ給与を支払う。また雇用契約は継続され、一定期間内の職場復帰が保証される。

同チーム所属のフィリップ・ジルベールは、3月30日、仏ユーロスポーツのトーク番組『le Club Eurosport』にビデオチャットで参加。ツール・ド・フランスが中止に追い込まれた場合の、プロトンへの経済的影響について言及している。

フィリップ・ジルベール(Lotto Soudal)
『もしもツール・ド・フランスが開催されなければ、チームとの契約を破棄するスポンサーがでてくるだろう。ツールなければ、支払いもなし。たくさんの契約打ち切りが予測される。多くのチームにとって、ツールとは、シーズン最大のイベント。ツールなしでチームは成り立たない。メディア露出度が極めて高く、スポンサーとしてはツール抜きなんてあり得ない。

テレビに長時間放映される機会や、たくさんの人々の目に触れる機会がなければ、スポンサーをする意味がない。こういった見返りを期待して出資するわけだからね。だからスポンサーたちが、ツールなしで納得するとは、到底思えない』

引用:2020年3月30日付 Eurosport.fr le Club Eurosport


ベルギーでは複数チームが同制度を利用しているとされる。フランスでもBBホテルズ・ヴィタルコンセプトが、一時的失業の申請に踏み切った。アスタナのメンバーは3ヶ月間の30%減俸、バーレーン・メリダの選手は3ヶ月間の70%減俸との報道もなされている。

またAIGCP(国際プロ自転車競技チーム協会)は、3月30日、UCI(国際自転車競技連合)に対して選手契約に関するルール緩和やUCI登録の際の銀行保証の分配を要求。UCIはプロ自転車界の危機的状況を受け、AIGCPやCPA(プロ選手協会)と共に問題解決チームを立ち上げることを発表した。

text:五色の猫 photo:Lotto Soudal